特許翻訳。申し訳ないけどやめてよかった。
何度も言ってますが、2019年春、20年以上やっていた特許翻訳の仕事をやめました。
その理由については、下記のブログをお読みください。
私が特許翻訳者をやめた理由①
私が特許翻訳者をやめた理由②
私が特許翻訳者をやめた理由③
やめることを決心してからも、もしかしたら仕事を再開する日がくるかもしれないと、クライアントには「休業のお知らせ」を出したままでした。
その一社から、先日、お手紙が届きました。
要は単価の引き下げです。
その翻訳会社とは、2006年からお付き合いが始まり、当初は14円/1 word。
当時、特許事務所と直接取引があり、そちらと比べると単価は低かったです。しかし、他の大手翻訳会社に比べると一番単価が高かったと記憶しています。(他の会社は単価10円ぐらい)
単価は低いけれど、翻訳会社と取引するのには利点があります。
それは、仕事量の多さです。小さな特許事務所では外国出願数が限られているので、たまにお仕事とお仕事の間に10日間ほどギャップができることがあります。そんな時、ちょうどいいサイズのお仕事をいつでももらえるのが翻訳会社。
しかし、10年後の2016年、初めての単価引き下げのお願いがありました。1 word、12円。
そして、2019年、2度目の単価引き下げで、1 word、10円へ。
今回は、3度目の引き下げです。1 word、8円。
理由は、コロナ禍での受注減少とクライアントからの値下げ要請だそうです。
翻訳者に対して無理も言わず、期限延長にも何度か対応していただき、担当者の方ともメールだけの付き合いではありましたが同年代という事もあり仲良くさせていただいていました。
だから、この値下げを聞いた時、値下げに対する怒りではなく、お世話になった会社がどんな苦境に立たされているのかを想像して心苦しくなりました。
たった10年で、こんな風に特許翻訳を取り巻く状況が変化するなんて誰が想像したでしょうか?
英語ができる人の着実な増加、機械翻訳の発達、日本企業の新しいものを創り出す力の低迷、様々な要因が翻訳業界に打撃を与えている。
しかし、この状態を「打撃」ではなく、「変化を求められている」と捉えた方がいいと思う。
それならば、変化の波に乗って、新しい事に挑戦できるから。
例えは、「特許翻訳は特殊だから、人間じゃないとダメだ」という固定観念を捨てる。
人による翻訳を一切やめて機械翻訳だけにし、チェッカーだけ人の手を借りるというのもいい。
お世話になった翻訳会社、なんとか生き残って欲しいと願うばかりです。
申し訳ないけど、私は特許翻訳をやめました。
ブログやYouTubeなど新しい事を始めたけれど、まだ収入はゼロです。
それでも、「やめてよかったな」と思います。
希望があるから。
はじめまして。
今年 20数年続けた在宅でのフリーランス翻訳を全く同じ理由(①〜③、そして単価の関係)で辞める決心をした者です。年齢から辞めるに至ったプロセスや考えまで似すぎていて、まるで自分の心の内が理路整然と書かれたものを読んでいるようでした。同じような境遇の方がおられて嬉しいです。
ブラウニーさん、コメントありがとうございます!
そうなんですね。同じ状況なんですね。
きっと、私たちだけじゃなくて、多くの人が変化を感じられているんでしょうね。
長年お世話になった翻訳という仕事には本当に感謝しています。
英語は好きだし、また別の場所で生かせたらいいなと思っています。
ブラウニーさんも今までの経験を生かして新しい事に挑戦してください!
お互い頑張りましょうね!