ブラウニー。オイルで作るか?バターで作るか?
最近、ブラウニー作りにはまってます。
日本ではあまり好まれていないのかレシピもそれほどないけど、英語のサイトを見るとバリエーションは無限大。基本のブラウニーに色々なトッピングを加えたものが見つかります。基本となるブラウニー生地も人によって作り方は様々。
アメリカ人はブラウニーが大好き。19世紀後半、百貨店シアーズの前身、シアーズ・ローバックが出したカタログに初めてそのレシピが公開されたらしい。
基本的なブラウニーは、小麦粉、砂糖、卵、バターがベースとなって、チョコレートがブラウニー独特の風味を加えます。レシピを色々見ていると、気になるのが、バターを使うレシピと、植物油を使うレシピがあるということ。
私が初めてブラウニーを作ったのは、アメリカの食品メーカー、ベティ・クロッカー(Betty Crocker)のブラウニーミックスをもらった時。
このボックスに入っているミックス粉に水、卵とオイルを加えて焼くだけ。
ここでいうところのオイルとは、”Vegitable oil(ベジタブルオイル)”。日本で言うところのサラダ油かもしれませんが、植物系の油なら、オリーブオイルやひまわり油、こめ油などでも構いません。
このインスタントのブラウニーミックスに反し、手作りレシピではバターを使う人が多い。果たしてどちらを使った方がいいのでしょうか。
最近の健康志向により、オイル(植物油)やバターに対する見方も変わってきています。数十年前は植物油のほうが身体にいいかのように謳われてきたのに、ここ2、3年はバターの方がいいという情報もありますよね。
健康的で美味しいお菓子を作るには、身体によく、しかも完成品の味と食感を損なわない材料を使うことが大事。ブラウニーの場合、バターとオイルにはそれぞれ長所短所があり、作り手はその違いをよく知ったうえでベストな選択をする方がいいようです。
ブラウニーに使えるバター、オイルとは?
バターは、無塩バターを使います。塩分が入ったバターを使うと本来の味を変えてしまうからです。
最近は、グラスフェッドバター等のオーガニックバターなんかを使う人もいます。オーガニックバターは、オーガニックの餌だけを食べた牛から摂れるもので、残留農薬が混入している率が低いと考えられてます。でも、結構お値段はしますよね。
植物油は、無臭で、ブラウニーに含まれるチョコレートやその他の材料を邪魔しないものがいいでしょう。例えば、ライトタイプのオリーブオイル、ひまわり油、サフラワーオイル(べに花油)、グレープシードオイル、キャノーラオイル(なたね油)等は、油自体の癖が少ないのでブラウニーに使っても問題ないでしょう。
栄養価からみたら、どうよ?
ブラウニーにオイルかバターのどちらをいれるか考える時、やはり気になるのはカロリー。それから、健康面を考えると飽和脂肪もおさえておく方がいいでしょう。当たり前のことだけど、カロリーを取りすぎると体重が増えてしまうし、体重が増えすぎると健康にも影響する。飽和脂肪は、動脈硬化や心臓病の原因とも言われています。
他にも気にしたい栄養価はビタミンAとE。
カロリー | 飽和脂肪酸(グラム) | その他 | |
バター | 102 | 7.3 | ビタミンA:355、コレステロール:31mg |
ひまわり油 | 120 | 1.4 | ビタミンE:8.3 |
サフラワー油 | 120 | 0.8 | ビタミンE:6.9 |
サフラワーオイル(べに花油)は飽和脂肪が一番低く、カロリーは意外とバターが低い。ひまわり油は最もビタミンEを含んでいます。
それほど大差はないのだけれど、体重を気にするならバターを選べばいいし、心臓に不安があるならばサフラワーオイルを選ぶべき。このように、自分の身体に最適なものを選ぶのがいいでしょう。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸からみたら、どうよ?
脂肪酸オメガ3とオメガ6は、身体の免疫機能を高め、炎症をしずめ、細胞壁の膜を栄養が拡散するのを助け、脳を活性化します。この二つの脂肪酸は昔であれば食事中にバランスよく含まれていました。しかし、食生活の変化とともに、オメガ6を摂取することの方が多くなったようです。バランスを取り戻すには、オメガ3オイルをできるだけ多くとることが重要です(ハーバード大学公衆衛生学部調べ)。
オメガ脂肪酸のバランスを整える目的で、バターとオイルのどちらかを選んでもいいでしょう。バターに含まれるオメガ6は2%で、オメガ3も2%。キャノーラオイル(なたね油)はオメガ6(リノール酸)が約20%でオメガ3(リノレン酸)が9%。キャノーラオイル(なたね油)はオメガ3(リノレン酸)の含有量が一番高く、逆にバターはオメガ6(リノール酸)の含有量が一番低い。もし、関節痛や自己免疫疾患等の炎症性疾患を抱える人ならば、キャノーラオイルかバターがいいかもしれませんね。
食感からみたら、どうよ?
脂肪は食感にも影響します。その影響とは大きく分けて二通り。1つは、小麦粉のグルテンをコーティングして固まるのを防ぎ、柔らかさを保つ。もう1つは、混ぜている間に脂肪は固くなって、ベーキングパウダーのような発酵物質からできる二酸化炭素のガス層を作る。それによって焼き菓子は膨らむのです。
バターとオイルの両方とも、ブラウニーをしっとりとした柔らかい口当たりにしてくれます。しかし、バターだけがブラウニーを膨らませてくれます。ケーキのようなブラウニーを作りたい場合はバターを入れ、濃厚なファッジタイプのブラウニーを作る場合はオイルがいいでしょう。もちろん、量を加減して両方加え、いいとこどりもできます。
風味
バターとオイルは風味にも影響します。飽和脂肪を気にしなければ、バターは他のどの脂肪材料よりもチョコレートを引き立たせ、キャラメルや木の実のような深い味わいを与えてくれます。もし、他の材料、例えばナッツやキャラメルを使うのであれば、それ自体がブラウニーに奥行きを与えてくれるので、バターを使わなくても大丈夫。心臓のことを考えならオイルの方がいいかもしれないですね。
最初にご紹介したベティ・クロッカー(Betty Crocker)のサイトにQ&Aコーナーがあります。「ブラウニーミックスに加える植物油をバターに変えてもいいですか?」という質問に、「もちろん大丈夫。作り方に書かれている植物油と同じ量を入れてください。」とあり、その最後に「一度バターにしたら、もう植物油には帰れないかも」と書かれています。んん~、どっちを入れるか悩みますね。
参照