ネットは嘘が多いけど、本は査読されているから大丈夫という幻想

最近見たネトフリのドラマで印象的なのがあった。

Apple cider vinegar (アップル サイダー ビネガー)というドラマ。

オーストラリアが舞台。

主人公は複雑な家庭環境で育ち、成功することを夢見るシングルマザー、ベル

料理が好きだけど、なぜか人から嫌われがちで、SNSのフォロワーも伸びない。

ある日、癌サバイバーであるミラのSNSを見つける。

ミラは、癌で腕を切断することをせまられたとき、現代医療を拒否してメキシコの代替医療に頼ることにした。

そして、何らかの要素が起因して、腕にあった腫瘍は消えていく。

その奇跡と食事療法をつたえるミラのSNSが世間をにぎわしていた。

そこで、ベルがSNSで語り始めたのは、自分が脳腫瘍サバイバーだということ。

ベルは成功することができるのか?

ミラは本当に代替医療で病気を克服できるのか?

というのが、大体のあらすじ。

女性ならば、オーガニック、ベジタリアンなど、一度は興味を持った人も多いだろう。

子供が生まれたり、病気になったりすれば、なおさらだ。

製薬会社の陰謀説なども飛び交えば、つい自然療法に飛びつきたくなる。

とても考えさせられる良いドラマだったと思う。

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話変わって、先日、本棚の整理をしていた。

久しぶりに手にした本のページを開けながら、

「もう一回だけ読もう」と思って本棚にそっと返すを繰り返していた。

そんな中、見つけた一冊。

画像はAmazonから借用しました。ごめんなさい。

「食べ物だけで余命3か月のガンが消えた

全身末期ガンから生還した、私のオーガニック薬膳ライフ」

高遠智子 著 (フレンチガストロノミー上級ディプロマ 国際中医薬膳師)

2014年第一刷だから、約10年前に購入したものだと思う。

高遠さんは、28歳の若さで末期の卵巣ガン(ステルス)と診断され、余命半年の宣告を受けた。

最後の数か月は好きなことをしようと車イスで渡仏し、モンマルトルのビオマルシェで奇跡のトマトに出会う。

そこで食べ物の大切さを認識し、そのままリッツエスコフィという学校で食をまなび、中国では北京中医薬大学で国際中医薬膳師を取得。

本には、ガンを克服した経緯と現在の活動。

そして、身体に良い食べ物やレシピがたくさん書かれている。

当時の私は、

さるき
さるき

「食べ物でガンを克服するひとが本当にいるんだ~。すごいなあ~。やっぱ、何を食べるか、どう食べるかって大切だなあ。」と感動していました。

アメリカ人の旦那の口に合うものはあまりなかったけれど、心に留めて丁寧な食事を心がけていました。

10年ぶりにこの本を見つけ、

「高遠智子さんって、今何しているんだろう。Youtubeとかバリバリやってるんちゃうかなあ」

と検索してみる。

ん? あまり情報がない。

Youtubeチャネルはあるけど、6年前から更新されていない。

Facebookウェブサイトなども閉鎖されていたり、ポストされてなかったり。

まさか、ガンが再発?

なんて調べていると、検索窓にでてくる候補が・・・・。

「高遠智子 嘘」

調べてみると、いくつか記事が。

その中にはお医者さんのブログも。

五本木クリニックの院長が2本立てで書かれている。

「食べものだけでガンが消えた」のオーガニック薬膳料理研究家高遠智子さんの本がかなりヘン

やっぱりヘンだよ!料理研究家の高遠智子さん、経歴詐称疑惑は別物としても⋯。

他にも「デイリー新潮」や「がん患者会シャローム」にも同じようなことが書かれていました。

要は、高遠さんが著書に書かれている病名は存在しないこと。

症状や、病院で受けた治療もでたらめであること。

また、その後の著書で、高遠さん自身がフレンチガストロノミー上級ディプロマと国際中医薬膳師を取得していないことを認めている。

爪の先ほども疑っていなかったのに、10年越しのショック!

作中に、「1994年に25歳」とあるので、1969年生まれであろう。

2019年6月23日に投稿されたNoteのHaru55さんの記事が、高遠さんの近況を知る最新のもののよう。

『五感を研ぎ澄まし コトダマと魂が共存すること』パーソナル薬膳料理研究家 高遠智子さん

この時点で50歳

今もご存命ならば、56歳である(2025年現在)。

生きておられたら、「ガンはウソだったのね」

お亡くなりになられてたら、「やっぱり食べ物で病気は治るというのはウソだったのね」

という、かなり厳しい状況である。

彼女の現状がわからないので、彼女についてのコメントはやめておく。

冒頭の「アップルサイダービネガー」で、主人公ベルは、最後まで癌であると言い続けた。

彼女の話を信じて科学的治療をやめてしまった人。

彼女が立ち上げたクラウドファンディングの入金を待ち続けた脳腫瘍の子供。

小さな嘘が、命を左右するケースもある。

ネット上の情報を鵜呑みにすることに関しては気を付けているつもりだけど、

本で書かれていることも怪しいとなりゃ、どうすりゃいいんだ。

調べても調べても、調べつくしても、正しい選択などできないのかもしれない。

ガチャですな。

命を懸けたガチャ。

覚悟をもって回すしかない。

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