ゼンタングルで命を救われた人の話
ゼンタングルって知っていますか?
興味本位で参加したゼンタングル講座で思いもよらなかった不思議な話を聞きました。
ゼンタングル
ゼンタングルって何?
ゼンタングルとはゼン(Zen=禅)とタングル(tangle=もつれる)を掛け合わせた造語。
決められたパターンを小さな紙片に描き美しい作品をつくるアートメソッド。
誰が考えたの?
アメリカ人のリック・ロバーツさんとマリア・トーマスさんご夫婦がゼンタングルメソッドを考案し、ゼンタングル社を設立。
ゼンタングル公認講師が教えます。
日本にも公認講師がおり習うことができます。
何がいいの?
集中力を高め、リラックス効果が期待できるといわれています。
また、公式HPには以下の効果があると書いています。
Relax(リラックスできる)
Focus(集中できる)
Expand your imagination(イマジネーションが広がる)
Trust your creativity(自分がクリエイティブな人間だと思える)
Increase your awareness(様々な気づきがある)
Respond confidently to the unexpected(自信をもって予期すぬ事に対処できる)
Discover the fun and healing in creative expression(モノづくりを通して表現していく中で楽しみと癒しを発見できる)
Enter a vibrant and supportive world-wide community(活気があり、お互いを助け合う人々が集う世界規模コミュニティの仲間入りができる)
Feel gratitude and appreciation for this beautiful world and all that you can do(この世界が美しいこと、その美しい世界で生きていること全てに感謝し素晴らしいことだと感じることができる)
And perhaps most importantly . . . Have fun!(そして、おそらく一番大切なことは・・・楽しむこと!)
描き始める前に呼吸を整え、描いている間はそのことに意識を集中させる。
ちょっと、禅っぽい感じもありますが、宗教には一切関係ありません。
参考までに
Zentangle(公式HP)英語
Zentangle(公式YouTubeチャネル)
Zentanglefan(公認講師 芳野かえさんのブログ)
Kae Yoshino CZT (同じく芳野かえさんのYouTubeチャネル)
Emi’s Tangle(公認講師 金子恵美子さんのブログ)
Emiko Kaneko CZT(同じく金子恵美子さんのYouTubeチャネル)
Shie Naritomi(公認講師 成冨史絵さんのYouTubeチャネル)
ゼンタングルに救われた命
講師Yさん
私が参加したのは、市が主催する小さな講座。
コロナ禍でもあり、講師ひとりと12人の受講者でした。
エプロンをかけ、眼鏡チェーンがキラキラ輝くその講師は60代ぐらいのどこにでもいるような小柄な女性、Yさん。
受講者全員が揃うまで、ちょっとソワソワした感じで、職員の方と話していました。
受講者の机の上には、3枚のプリントと筆記用具。
Zentanglと書かれた長さ10㎝ほどのかわいい鉛筆。
見知らぬ受講者の間で私も少しソワソワ。
時間が来ると、まず職員のあいさつ。そしてYさんが紹介されました。
「こんにちは、初めまして。今日はよろしくお願いします。」
大切な人の死と病気
Yさんはしばらく前にご主人に先立たれました。
最愛のご主人を亡くしたショックはものすごいものでした。
もともとあったのか、ショックで患ったのかはお聞きできませんでしたが、それ以降狭心症の発作に苦しめられたそうです。
1年のうちに何度も救急車で運ばれたこともありました。
ゼンタングルで取り戻した健康
そんな境遇の中でも、悲しんでばかりはいられないと、Yさんは絵手紙の教室に通うことにしました。
しかし、特に絵心があったわけでもなく、うまく描けない日々に何となくモヤモヤしていたある日、絵手紙の先生がゼンタングルを紹介してくれたそうです。
決められたパターンをひたすら描くゼンタングル。これなら自分にもできるかもしれないと思ったYさん。
ゼンタングルは基本的に8センチ四方の紙に描くので、一般の絵画制作に比べて短時間で一つの作品ができあがります。
Yさんは狭心症の治療のため訪れた病院の待ち時間を使ってどんどん作品を作りました。
長く感じた待ち時間もゼンタングルを描いているとあっという間です。出来上がった作品も美しく、徐々に腕を上がて行きます。
そうこうしているうちに、Yさんはあることに気づきました。
「あれ、最近、狭心症の発作がない」
何度も死ぬ思いをしたあの発作がないのです。
もちろん科学的な根拠はなにもありません。
しかし、明らかに発作は減り、どんどん元気になっていきました。
そして、2018年にゼンタングルを始めてからたった2年でゼンタングル認定講師資格に挑戦。
今回の講座はYさんにとって初めてのおしごと。
ご年齢はうかがいませんでしたが、60歳を過ぎてから初めて新しい仕事を始めるYさん。
まさしく、私の理想です。
何かに集中すると力が集まる?
この話で思い出したのが、モンテッソーリ教育です。
息子の保育園を選ぶとき、候補に挙がった保育園のなかにモンテッソーリ教育を採用している保育園があったので調べたことがありました。
モンテッソーリ教育をつくったマリア・モンテッソーリはある日、物乞いをする母親の傍で遊ぶ小さな女の子を見つけます。その女の子が一枚の紙切れに深く集中し、充実し平和に満たされている姿を見ていて「ひどい逸脱状態にある子どもでも何かに集中することによって変わることができる。」という考えがひらめきます。
この考えのもと、モンテッソーリ教育を採用する教育機関では「おしごと」と言われるものを子供たちに与えます。
それは、刺繍だったり編み物だったり多岐にわたります。
ゼンタングルってその「おしごと」に当たるんじゃないかと。
「猫の絵を描いて」というと、「どんな猫を描こうかな」「どんな色に塗ろうかな」といろいろ考えなければならないけど、ゼンタングルは(段階にもよりますが)すでにあるパターンで紙を埋めていくという作業。
ペン先に意識を集中してひたすら同じパターンを描いていく。
それが心に充実感と幸福感を与えるのではないか。
実際、アメリカでは病院や教育現場でゼンタングルを使うこともあるそうです。
芸術というよりも、癒しを得るメソッドとしてゼンタングルは有効なのかもしれません。(ゼンタングルをやめたアーティストの話も興味深かったです。➡ノアズアートギャラリー)
50女の心得
癒されたかったら集中せよ