②黄斑上膜の乗り越え方
昨年秋に黄斑上膜と診断され、周りが歪んで見える原因がわかった。治療薬もないので、フワフワとした違和感とともにずっと暮らしてる。
今まで視力が良かっただけに、残りの人生をこの目で過ごさなければならないのかと思うと憂鬱な気分だったけれど、あることがきっかけで、少し前向きにとらえられるようになった。
黄斑上膜の手術をしても・・・。
黄斑上膜についての私の体験談はこちら!
「ゆがんで見える」黄斑上膜(前膜)
以前書いた通り、加齢が原因で目の黄斑という部分に膜が残り、その膜が収縮して網膜にシワが寄りモノが歪んで見えるようになった。手術で膜を取り除くことはできるが、お金もかかるし、手術するほど深刻な病気ではないらしい。
先生からも「経過観察」を勧められ、様子を見ることになった。
しかし、歪んで見えることによる気持ち悪さは増す一方。相手を見て話していると会話に集中できないこともしばしば。
テニスの空振りも増えた。
憂鬱な気分になることも多く、近頃は、手術をしてなんとかしたいと思ってみたり・・・。そこで、今一度、黄斑上膜について調べてみた。
黄斑上膜の手術については、「獣の奏者」などの著者である上橋菜穂子さんがブログに詳しく綴ってくれていた。
また、一般の方の手術記録も読みました。
お二人とも術後、歪みの方ははあまり改善されていない様子。
Con Brioさんは術後に「歪みは以前が10なら今は9」と書かれている。ほとんどよくなってないじゃん!
その他、お医者さんの解説やブログも読んだけれど、状態を改善するというよりも進行を止める手術のよう。
だから、進行が遅いのであれば、もう少し歳を取ってから白内障の手術と一緒にするのがよいらしい。
読めば読むほどあきらめムードに。手術を受けても意味はない。進行度合を見るために、定期的に病院に行くしかない。
黄斑上膜の手術をしないなら・・・。
そうやって「手術はしない」と決めたものの、不自由な生活に少し落ち込んでいました。
だけど、考え方を切り替えて、今は黄斑上膜を前向きにとらえられるようになりました。きっかけは、「実践!50歳からのライフシフト術」という本を読んだことでした。
定年退職後の仕事や人生について、様々な人の体験談をまとめた一冊。
その中にある「障害があっても簡単に着付けができる帯を発明し、70歳で起業」した鈴木富佐江さん(82歳)のお話しを読んで気持ちを切り替えることができた。
鈴木富佐江さんは、65歳の時に脳梗塞を患い、右側に後遺症ができ、ひとりで着物の帯を結べなくなった。
着物が大好きだった鈴木富佐江さんは、「もう一度着物が着たい!」という強い思いから簡単に着られる「さくら造り」帯や長襦袢を考案。その後「さくら着物工房」を立ち上げて84歳の今も現役で活躍されている。
「それはすごい。でも、それってどこかで聞いたことがありそう?」と思われた方もいると思う。
私も今思えばそう思う。50年以上生きていれば、この手の話はたくさん見聞きしてきた。
体が不自由になった人が必要な物を考案したり、不自由さを逆手にとって元気に生きていく話はいっぱいある。
パラリンピックに出場する人なんて、みんなそうだ。
「障害は個性」とか、「あきらめない心」とか、「失くしたものを悲しむより、まだ持っているものに感謝しよう」とか、頭の中にはたくさんの教訓がある。
もし、他人から相談されれば、そうやって励ましただろう。でも、それを自分に当てはめることができなかった。
目がよく見えなくなって、できなくなった事ばかりに気が取られ、滅入っていたのだ。
今回、たまたま鈴木富佐江のお話しを読んで、自分の引き出しの中にあったものを、「ほら、ここにあるでしょ!」と見つけてもらったような気分だ。
そう、50年も生きてきたんだ。答えは自分の中にあるはず。
目が見えにくくても、まだ見えるし生活に支障がないことに感謝しよう。
目が見えにくくて本が読みにくかったら、工夫して生活しよう。今なら、オーディオブックなんかもある。
おそらく、これから、このような出来なくなる事がどんどん増えてくるだろう。覚悟して、いちいち嘆かず、できることを伸ばすか、できる道を探そう。