私が特許翻訳者をやめた理由①

 特許事務所に勤めて10年。その後、フリーランスの特許翻訳者になって15年。一家を支えるほどの収入はなかったけれど、おかげさまで途切れることなく仕事をいただき、子どもの教育費を賄えました。

 今年の3月から翻訳業を休業し、今、このブログを始めることで、きっぱりと特許翻訳人生に終止符を打ちたいと思います。

 理由は大きく分けて以下の3つ。

1.楽しくない

2.特許翻訳はなくなると思う

3.自身と家族の諸事情

「私が特許翻訳者をやめた理由①」では、「1.楽しくない」についてお話しします。

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私が特許翻訳者をやめた理由②
私が特許翻訳者をやめた理由③

楽しくない

①自分自身、単純に、興味がない。

文字通り。昔からずっと文系人間で理数科目が大嫌いだった私。一応英文科卒だったこともあり、「一生独身かもしれないから、手に職をつけよう」と翻訳の勉強を開始したのが28歳の時。たまたま入社した特許事務所で翻訳の仕事を任されるようになった。その事務所で取り扱っていたのが「電子・電気・機械」関係の特許出願でした。そのままフリーになってからもその範囲の翻訳分野をすることに。

特許翻訳者の中には、昔技術者だった人も多い。そういう人にとっては、毎日が新しい発見で、欲しい知識が毎回得られるものであろう。面白い小説を読むようにワクワク感が止まらないかもしれない。

残念ながら私はそういうタイプではなかった。

翻訳作業自体は嫌いではない。もともと、草むしりやモヤシのヒゲ取りなどに夢中になれるタイプ。パズルのように言葉を探して当てはめる作業の中、ピッタリな訳語を見つけた時は達成感もあった。だけど、とにかく内容に興味がもてない。

仕事だから興味が持てなくてもやらなければならないこともある。しかし、半導体やベアリングの仕組みなんかを1日8時間、365日毎日考えて、家族以外の人とほとんど接触せずに15年も経つと、自分自身がつまらない人間になっているのに気付く。おやじギャグのひとつも言えなくなっている。

つまらない毎日を過ごすという事よりも、つまらない人間になっている自分に愕然とする。

②周りの人間も、単純に、興味がない

私の旦那も文系人間。モノづくりにさえ興味がない。だいたい、特許文書はマル秘事項なので、内容について話すこともできないが・・・。

だから、「今日は何かあった?」という質問に答えられない。「特に何も・・」と言いながら、「外輪1の軸線O方向他方端の訳に苦労したよ。定義なしにいきなり他方端って出てくるんだよね。第二端に変えてもいいかな。第二端にすれば、いちいち軸線O方向って言わなくてすむのにな。どう思う?」と言いたい気持ちをぐっと飲み込む。

だいたい、奥さんとそんな会話したいですか~!!

人との会話もめっきり減った状態で15年ぐらい経つと、いざというときに面白い会話さえできなくなった。自分に面白い出来事がないし、単純に口の動きが鈍くなって言葉がでてこない。せっかく関西人に生まれてきたのに面白いことも言えないのか~~!

面白い人間になりたい。

そう願って、まず手始めに、ブログ始めました。

50女の心得

面白い人間になりなはれ!

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