豊かな人生について、急にひらめいた!

先日、京都市内に所用で出かけた。

京都府民であるとはいえ、京都市内までは1時間弱かかる。

せっかくなので、早めに家をでて京都散策をすることに。

今回は、京都に行くときはいつも通り過ぎていたけれど

行ったことのなかった、東寺へ。

東寺周辺にあるカフェなども調べておいたので、

まず、そのカフェに行くことにした。

時間を愉しむ日本茶空間「間(ま)」というところ。

カフェであり、

茶室であり、

本屋であり

ギャラリーやイベントもある。

つい見過ごしてしまいそうな日本家屋。

「見過ごすわけはない」という読者の方もいらっしゃるだろうが、

京都にはまだまだこのような表構えの家は多い。

私もしっかり通り過ぎた。(笑)

一枚目の扉を開ける。

ウェブ上の写真を借用しました。この方はオーナーさんみたいです。

大きなカウンター。

後ろには重厚な金庫がある。

しかし、誰もいない。

しばらく、待ってみる。

誰も来ない。

二枚目の扉を開ける。

ウェブ上の写真を拝借しました。現在は展示スペースが増えている。

茶器やフレグランスなどが並べられている。

しかし、誰もいない。

しばらく、待ってみる。

右手の扉の向こうに人影が見える。

奥のドアから出て左手に何かを取りにいったようだが、私に対して何の反応もない。

「完全予約制?」

場違いな雰囲気に不安がよぎった頃、女性のスタッフがやってきた。

カフェだと知ってはいたが、あらためて

「ここは何なんですか?」と聞いてみる。

「ここは、日本茶のお店なんですよ。飲んでもいただけますし、

お茶をたてたりすることもできます。」

ほっとして、「お茶が飲みたいです」と右手のカフェに通してもらった。

中では二十歳前後の男性客が4人、カウンターに並んでいた。

他に二人掛けの丸テーブルが一つと

6人座れる長テーブルが一つ。

長テーブルにも先客がいたので、丸テーブルに座る。

一通りメニューの説明を聞く。

食事は予約が必要という事で、

お茶をかけて食べるお茶漬け菓子」というのをいただくことに。

「四季報ガイドブック」を読みながら待っていると、先ほどの女性スタッフが

「すみません。おひとり相席させていただいてもいいですか?」とやってきた。

「ぜんぜん構いませんよ」と答える。

ほどなく、一人の女性がやってきた。

年のころ、20代後半から30代前半の女性。

きちんとした装いで、きれいなお嬢さん。

「すみません。お邪魔します。」と丁寧にあいさつされた。

「ぜんぜん、大丈夫ですよ」と返す。すると、

お客様で、すよね?」と聞かれた。

「え!?はい、そうです、けど。(あなたも)お客様ですよね!?」

意外な質問に、私も思わず同じ質問で返した。

「ええ、客です。ふふふ」

私は、基本、個人のスペースを尊重するタイプなので

それ以上つっこまず、「四季報ガイドブック」に目を戻す。

間もなく、注文していたお菓子が運ばれてきたので

もくもくと食した。

クルミの入った求肥に包まれたクローブ黒糖餡にお抹茶をかけて食べる「雪平」

そうこうするうちに、カウンターに座っていた4人組が店を出た。

すると、相席の彼女が私に向かってこう言った。

「カウンターに移動しません?」

挨拶を皮切りに話が盛り上がっていたならともかく

しらっと自分の世界に入っていた私になぜ?と思い、

「いえ、私は大丈夫です(ここでいいです)」と答えると

「カウンターの方が色々お話が聞けて楽しいですよ」と微笑まれた。

そう言われては断りきれない。

「じゃあ、お言葉にあまえて」と移動。

すぐに彼女のもとにはメニューにない食事のようなものが運ばれてきた。

私「そんなメニューもあるんですか?」

彼女「このあいだ来た時にリクエストしていたんです。」

私「よく来られるんですね」

彼女「そうなんです、私ここが大好きで、多い時は週に4~5回来たりするんです。」

私「お茶がお好きなんですか?」

彼女「お茶も好きですけど、ここの雰囲気が好きで。すごく落ち着くでしょ」

私「確かに」

しばらくすると、彼女のために4種類の茶葉が小皿に乗せられてやってきた。

ロングヘアを後ろでひとつにくくった若い男性がその皿に急須でお湯を注ぐ。

彼女「このお店、150種類の日本茶があるんです。わたし、全部飲んでみたくって」

そういうと、一つずつ手に取って味わっていく。

ロン毛のお兄さんの説明を聞きながら、

彼女「ん~、この中だったら、これが一番好きかな。まろやかな感じがする」

お兄さん「このお茶は、こちらの〇〇茶を1年間寝かせたものなんです。だから味が丸くなっていると思います」

彼女「ああ、だからかな。こっちは、苦みが強かった」

私「お茶にお詳しいんですね」

彼女「いえいえ~、全然詳しくないんですよ。ただ、飲んでみて直感で好きなものを買って帰るだけなの。(お兄さんに)じゃあ、今日はこれを包んでくれる?」

その後も、彼女はこの店のことをいろいろ教えてくれた。

彼女の身なりから裕福な出所のお嬢さんという印象だけれども

その話し方は気さく嫌味がなく、それでいて知的

30歳近く年下というのにすっかり魅了されてしまった。

あっという間に本来の用事の時間が迫ってきたので

「カウンターに誘っていただいてありがとう。本当によかったです」

といって店をでた。

彼女とはもう会うことはないかもしれない。

でも、本当にいい時間を過ごすことができ、

久しぶりに心が豊かになった気がした。

人との関わりが大切だと改めて思った出来事だった。

自分の好きな人と共に楽しい時間を過ごすことが

人生を豊かにする一番の方法かもしれない。

翻訳作業という孤独な時間を20年以上過ごして

一人でいるのが楽なことも否めないが、

それはあくまで「平穏無事」を保つだけのこと。

つまり、プラスマイナス0の状態。

そして、素晴らしい人々と過ごせばプラスになり、

そうでない人と過ごせばマイナスになる。

気に入らない人とも一緒にいなければならないのが世の常だけれども、

その分、お気に入りの人たちと積極的に会うようにすればいい。

周りに心を豊かにしてくれる人がいなければ、

行ったことのない場所に行って探してみよう

そんな風に思ったひと時でした。

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