大きな晩白柚と「ワニくんのおおきなあし」

晩白柚」

 なんと読むかわかりますか?

 「ばんぺいゆ」と読みます。

 原産地はマレ-半島で、文旦(ぶんたん)などと同じザボン(白柚)の一種。柑橘類の中では最大級で、世界最大とも言われています。

晩白柚(中央)


 日本に導入されたのは大正初期で、熊本県の植物研究家、島田弥市(しまだやいち)氏がベトナムのサイゴン植物園で発見したものを持ち帰りました。栽培・普及に努め、今でも熊本を中心に栽培されています。

晩白柚(ばんぺいゆ)の名前の由来は、台湾で果肉が白いみかんを白柚(ぺいゆ)と呼んでおり、熟すのが遅かったので晩(晩生)白柚とされたそうです。

 なんか、どこかで見たことがあるようだけど、名前は知らなかったし、食べたこともありませんでしたが、ひょんなことから晩白柚のジャムをプレゼントしていただきました。

 ミカンや八朔とも違う柔らかい柑橘系の香り。皮とワタの部分も入っており、マーマレード特有の苦みもあるけれど、ワタのフワフワとした触感と甘みが口に広がります。とってもおいしいジャムでした。

 むむむ!?

 あら、気づかれた方がいらっしゃるでしょうか?ジャム瓶に貼られたステッカー。ワニくんのイラストと一緒に「HIROKAZU MIYAZAKI©」の文字。

 そうなんです。晩白柚ジャムは、絵本作家みやざきひろかず先生からいただいた物なんです!!ジャム自体は先生の奥様がお作りになったそうです。

 かれこれ、25年ほど前、みやざき先生の絵本を紀伊国屋で手に取って大ファンになりました。絵本のプロフィール欄を見ると、同じ奈良出身。後で知ることになるのですが、先生が絵本作家になる前に2年間だけ広告代理店で務めていたことがあり、なんとそこは私の当時の勤め先でもありました。

 ちょうどその頃、大阪で個展を開催されていたので押し掛けてお話しさせていただいたのが始まりです。物静かな語り口ではあるけれど、和気あいあいとお話しできるとても気さくな先生です。

 「ワニくんのおおきなあし」はどこかで一度は目にしたことがあるんじゃないでしょうか。私の一番のお気に入りは、「チョコレートをたべたさかな」。とても哲学的で奥深く、子どもは子どもなりに、大人は大人なりに考えさせられるお話しです。

 それを縁に、もともと絵を描くことが好きだった私は、先生が工房でされていた絵本教室にも通うようになりました。

 そのつながりで絵本好きの仲間を紹介いただき、「バニラビーンズ」という名前で一緒にグループ展を何回かしたのが思い出されます。OLをしながら夜遅くまで絵を描いて過ごす。今考えるとまるで夢のような時間でした。

 先日、そのバニラビーンズの同窓会があり、そこで晩白柚ジャムをいただいたという訳。

 今ではすっかり芸術とはかけ離れた生活をしている私。自分自身が変わってしまって、なんとなく当時の仲間と合っても話すことがないなと思い込み、忙しさのせいにして積極的に会おうとしていない時期もありました。

 しかし、今回、重い腰を上げて参加してよかったと思います。私も変わってしまったし、みんなも変わった。だけど、昔話を話しながら、あの頃の自分に会えたような気がします。

 「絵を描くのが大好きだったな」、「活発に動いていたな」、「夢を語り合う友がいたな」等など。「若い頃と気持ちは変わっていない」と思っていても、やはり少しずつ角度を変えていたり、彩度が落ちていたりすることに気づく。それをただ愕然とするのか、昔の自分に戻ろうと努力するのか、新しい自分でいくのかは、自分次第。ただ、時折、確認してみるのもいい。

50女の心得:昔の友達に会えば、昔の自分に会える。(会いたければね!)

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